スマートフォンのワイヤレス充電における最大の敵である「熱」。特に近年登場したQi2規格の25W出力ともなれば、充電器や端末に蓄積する熱は無視できないレベルに達しています。
そんな中、UGREENから登場した「MagFlow Pro 10000mAh マグネット式モバイルバッテリー 25W」は、モバイルバッテリーの内部にマイクロポンプを用いた水冷システムを組み込むという、極めて野心的なアプローチを採用した製品です。
高出力化と小型化がトレードオフとなるモバイルバッテリー市場において、物理的な熱処理に真っ向から挑んだ本製品は、単なる色物か、それともワイヤレス充電の最適解となるのか。
今回は本製品を実際に購入・使用し、充電速度や発熱を記録・検証したので、その真の実力と仕様をレビューしていきたいと思います。
製品のスペック・主な特徴

「UGREEN MagFlow Pro 10000mAh マグネット式モバイルバッテリー 25W」が備える最大の機能的価値は、やはり独自の「CryoPulseテクノロジー」によるマイクロポンプ水冷システムです。
これはヤバい。
— やずX (@F10Dfjtu) September 7, 2026
史上初「マイクロポンプ水冷冷却システム」搭載のモバ充。有線45W / Qi2 25Wワイヤレス充電対応。
充電で発生する熱を抑えて、高い出力を長時間維持します。
完全に新しい時代始まった感ある。 https://t.co/VEvRHi30QE pic.twitter.com/n6TJ4YRSRq
単なる放熱素材ではなく、マイクロポンプで冷却液を循環させることで、充電時の温度上昇を劇的に抑え込むと謳っています。
安全性についても、13層の多重保護機能を搭載。2T加圧・釘刺し・140℃加熱・800サイクルなどの試験を実施し、耐久性と安全性を追求しているとのこと。
加えて、リアルタイムの入出力W数やバッテリー寿命(サイクル回数)、冷却状態を表示できるスマートディスプレイを搭載するなど、ギークの心をくすぐる付加価値が詰め込まれた構成です。

本製品の公式サイトでの価格は税込19,980円となっています。
製品のパッケージ内容・外観

パッケージには本体のほか、取扱説明書、持ち運び用のポーチが同梱されています。

本体の表面処理やビルドクオリティは、モバイルバッテリーとしては高価格なだけあり上質な仕上がり。また、本製品のアイデンティティである「水冷システム」のビジュアルは、視覚的にもしっかりと主張されています。

透明なスケルトン窓越しに冷却液の流れが視認できる近未来的なデザインは、単なるモバイルバッテリーの枠を超えたガジェットとしての強い魅力を放っており、充電のたびに所有欲を満たしてくれます。
水冷システムを搭載しているという事実が、機能面だけでなくデザインの核として成立しているのです。
ククク......冷えてるぞ...... https://t.co/VEvRHi30QE pic.twitter.com/Bhtr5jnPUs
— やずX (@F10Dfjtu) September 10, 2026
また、持ち運び用のストラップがそのままUSB-Cケーブルとしても機能。別途ケーブルを持ち歩く必要がないのは非常にスマートです。

一方、携帯性についてですが、はかりを用いた実測重量は「234g」でした。

公称値の220gから14gほど上振れしており、有線充電に特化した薄型の10,000mAhモバイルバッテリーと比較すると、やや分厚く存在感があります。

しかし、これは言うまでもなくマグネット式ワイヤレス充電機構と、最大の特徴である「水冷システム」を内蔵していることによる物理的なトレードオフ。複雑なマイクロポンプやディスプレイを詰め込んでいることを考慮すれば十分に許容範囲と言えるでしょう。

手に持った際のバランスは悪くなく、スマートフォンに吸着させた状態でも極端な持ちにくさは感じないレベルに収まっています。
性能を検証:ワイヤレス&有線充電、発熱など

それでは、「UGREEN MagFlow Pro 10000mAh マグネット式モバイルバッテリー 25W」の目玉である水冷機構の効果とワイヤレス充電能力、そしてスマートディスプレイの実用性から検証していきましょう。
実測温度でワイヤレス充電器に圧勝
一般的なQi2 25W対応のマグネット充電器(UGREEN MagFlow 25W Qi2 ワイヤレス充電器)と比較検証した結果、充電速度はどちらも30分で37%まで回復しています(1時間で70%)。
しかし、マグネット側表面温度は、一般的な充電器が51.2℃に達したのに対し、本製品は43.5℃と顕著に低く抑えられていました。


本体サイズが小さく熱許容量が非常に狭いスマートフォンは、発熱状況に応じて受け入れ出力W数が低下しやすい特性を持ちます。
しかし、本製品は水冷システムによる温度制御が十分に働いているようで、モバイルバッテリー自体はもちろんスマホ側にも優しい充電環境を構築していると言えます。
1時間経過後には、マグネット側表面温度は53.2℃に達していましたが、出力を適切に落としてデバイス側とバッテリー本体の両方を保護する挙動も確認できました。

実際にバッテリー容量4,985mAhのGoogle Pixel 11を1%からワイヤレス充電で満充電まで回復させた際、充電の推移は30分で37%、1時間で70%(ここまでは充電器と同等)、1時間30分で85%、2時間1分で100%でした。

1時間経過後は出力が落ち、充電器よりも15分ほど遅く充電完了となりましたが、その分、徐々に温度も落ち着いていったので、モバイルバッテリーとスマホ両方に寄り添う熱管理設計だと言えるでしょう。
スマートディスプレイの視認性も良好であり、水冷ステータスも含め、給電状態を可視化できる点は安心感に大きく寄与しています。

なお、モバイルバッテリー側の最終的な残量は25%でした。
ワイヤレス充電における変換ロスを考慮すれば、10,000mAhクラスとして極めて真っ当な実効容量を確保しています。
有線充電:PPSの仕様がやや弱い
続いて、有線充電についてUSBチェッカーを用いて検証を行いました。本製品の対応プロトコルおよびPDOの実測結果は以下の通りです。
- USB PD 3.0:5V/3A・9V/3A・12V/3A・15V/3A・20V/2.25A
- PPS:内蔵ケーブル(5.0-11.0V/3.00A)、Cポート(5.0-11.0V/4.00A)
有線充電においては最大で45W(PD)となっていますが、高出力のPPS充電を求めるユーザーにとっては、やや微妙な仕様の落とし穴が存在します。
実測およびPDO解析において、内蔵ケーブルおよびCポートともに電圧上限が11Vとなっていると共に、電流が内蔵ケーブルで上限3A、Cポートで上限4Aとなっていることが判明しました。


最新の「Galaxy Z Fold8 Ultra」などは「15V/3A」の45W PPS急速充電(超急速充電 2.0)に対応していますが、本製品の電圧レンジ(5-11V)は適合しません。そのため、通常の固定電圧によるPD充電(実測25W程度)となります。
実際にGalaxy Z Fold8 Ultra(5,000mAh)を内蔵ケーブルで充電した場合、1%から満充電までに73分という中途半端なタイムを要する結果となりました(45W PPS対応製品なら、初速が早くトータルでも1時間程度で満充電可能)。
したがって、本製品の有線充電機能は、特殊なPPSプロファイルを要求する最新Android端末よりも、純粋なPD規格で高出力を受け入れるiPhone 17シリーズなどのスマートフォンにこそ向いていると言えるでしょう。
一方、Galaxy Z Fold8 Ultraを満充電した後のモバイルバッテリーの残量は38%でした。ワイヤレス充電(残量25%)よりもバッテリーの消費が少なく、充電自体も速いため、状況に合わせて賢く使い分けることを推奨します。
ただし、ワイヤレス充電はどうしても有線充電よりも変換ロスが大きくなるため、この差異はあくまで本製品に限らない一般的な仕様です。
有線充電:PC充電にはパワー不足

さらに、本製品は有線充電で公称最大45W出力を謳うものの、ノートPC等への給電においてその高出力が維持できるのは開始からわずか数分程度でした。
その後は内部保護の温度制御のためか、20W前後で推移する出力へと低下。そのため、使用しながらのノートPCへの給電には明確にパワー不足だと言わざるを得ません。
一方、モバイルバッテリー本体の充電(最大30W入力)については、PD 30W環境において30分ごとに約25%ずつ規則正しく回復し、空の状態からおよそ120分で満充電となることが確認できました。
3台同時充電が可能
最後に、本製品の複数ポート同時使用時の電力配分仕様は以下のようになっています。
- ワイヤレス + 内蔵ケーブル: 7.5W + 7.5W (合計15W)
- ワイヤレス + USB-Cポート: 5W + 10W (合計15W)
- ワイヤレス + 内蔵ケーブル + USB-Cポート: 5W + 5W + 5W (合計15W)
複数ポート同時利用時は合計出力が絞られる仕様ですが、あくまで本製品は10,000mAhのモバイルバッテリーです。
出先において、スマートフォン、ワイヤレスイヤホン、さらにはスマートウォッチなど、最大3台のデバイスへ同時に電力を供給できる柔軟性は好意的に評価できます。
緊急時や隙間時間など、複数デバイスのバッテリーを少しでも回復させたい場面では大いに重宝するはずです。
レビューまとめ:水冷システムの確かな実力

- 水冷システムによる効果的な冷却と的確な温度管理
- 水冷の稼働状況や入出力W数がひと目で分かる、実用性の高いスマートディスプレイ
- ケーブルを持ち歩く手間を省ける、ストラップ一体型ケーブル
- 10,000mAhクラスとして十分な実効容量と、安定した本体充電(約120分で満充電)
- スマホやイヤホンなど、最大3台を同時充電できる高い利便性と柔軟性
- 薄型バッテリーと比較すると、大きく存在感がある
- PPSが電圧11V / 電流3A or 4Aのため、中華スマホやGalaxyの有線急速充電と相性が悪い
- 有線の45W出力は数分で20W前後まで低下するため、ノートPCへの給電にはパワー不足
以上、UGREEN MagFlow Pro 10000mAh マグネット式モバイルバッテリー 25Wのレビューでした。
本製品は、ワイヤレス充電時の発熱によるバッテリー劣化を極端に嫌うユーザーや、ギミック感溢れる水冷機構とディスプレイ表示にロマンを感じるガジェット愛好家に向けて作られた、極めて尖ったコンセプトのモバイルバッテリーです。
また、近年は猛暑日や酷暑日が続き、発熱で思ったように充電できないということも多くなっていることでしょう。しかし、本製品の場合は水冷システムによって、充電には厳しい環境であっても、ある程度の緩和が期待できます。
本製品の公式サイトでの価格は税込19,980円となっており、モバイルバッテリーとしてはやや高価ですが、価格分の確かな実力とギミックを備えた優良製品となっていました。
